愛の重さ

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二週間後。 「…でね、私もう隼人は諦める事に決めたの。脈なしと判断したわ。」 就寝間近迄鈴葉は絢香からの電話をベッドを背もたれにしながら聞いていた。 「そう…なんだ。」 「そ。だってなんだもん隼人はさ。」 ───っ、、 「い、いきなり何言いだすかと思えばっ。」 ───え、どうしてそんな事言うんだろう。久保山君が絢香に私との事話したの?え?意味分からないよ。 鈴葉は絢香から発せられた突然の言葉に動揺が隠せないでいた。 「ごめんごめん。けどいい線行ってると思うんだけど…てか的中してるなあれは。この間吞んだ時の隼人の様子がおかしかったもの。」 「おかしかった?」 「うん。鈴葉と弘道さんの話したら自分の事みたくやけにむきになってたの。」 「え…。」 鈴葉は絢香の気持ちを知っているが故に何と言葉を掛けて良いか分からなかった。 「びっくりした?隼人が鈴葉を好きだなんて言って。」 「そ、そりゃぁ…。」 「だよねぇ。隼人なんか眼中に無かった訳だし私がそうは言ったからって「はい、次は隼人を好きになります。」なんていくら何でもならないわよね。ははは。」 「…。」 ───絢香は知らないからそうやってポンッと言えちゃうけど私は久保山君が好きなんだよ既に。 隼人が自分を好きだとそう言う絢香に鈴葉はこのタイミングで今の隼人への想いを打ち明けてしまおうかと頭を過ったが流石にそれでは絢香が隼人に片想いをしていた時期と被り気まずさを感じてしまった為やはり言えずに言葉をしまいこんだ。 「だけど絢香は久保山君に対してかなり本気だったんじゃないの?そんな簡単に諦め切れたの?」    「…うん。鈴葉の言う通り隼人の事真剣に考えた。だけど片方が強く想っていたからと言ってもその気持ちを無理に押し付けるみたいに相手に分かってもらうのはちょっと違うなって。恋愛はさ自然と人が惹かれ合ってこそ成り立つものでしょ?」 「ま、まぁそうかもしれないけど…。」 「それに私は時間を有効に使わないといけない事情が出来まして。」   「事情?」 「実はさうちの父親に病気が見つかっちゃって。だから娘としては元気な内に孫の顔見せてあげたいなって思う様になったんだ。そんな訳で私は立ち止まってはいられないの。次へ一歩踏み出して新たな恋を探しに行くわ。」 「絢香…そんな事があったんだ。」 「そ。私を見習ってって訳じゃ無いんだけど鈴葉も答えのなかなか出ない事があったなら次への一歩を踏み出してみるのも案外良い方向に進むかもよ。なんか偉そうだね私。はは。」 ───新たな一歩。絢香に言われて勇気が出てきた。 この間漸く自分に自分で胸を張って隼人が好きだと思えた鈴葉。そしてこうしている間にもこんな夜だと言うのにどうしようも無く隼人に会いたくて会いたくて溢れる気持ちがなかなか収まらずにいた。 「じゃあ遅くなっちゃうからまたね。おやすみ。」 「おやすみ。」 そう言って電話を切った後ベッドにゴロンとなりながら隼人の存在をより近くに感じていた鈴葉だった。真っ白な天井を見つめ隼人を想うその目にはしっかりとした意思が宿り鈴葉の中で何かが動き出そうとしていた。
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