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───今の何?睨まれたみたいでちょっと怖かったんだけど私の勘違い?
「お待たせ致しました。チーズ盛り合わせでございます。」
絢香にフッと湧いた疑念を払うかのように店員が料理を運んで来ると桜はまた目をキラキラと輝かせチーズに目をやる。絢香も先に届いたそのチーズに手を伸ばし皆でつまみ出すと桜が隼人の大学時代の話を聞きたいと言い出したので二人は記憶を遡りあれやこれやと当時の思い出を語り始めた。良く大学の帰りに皆でカラオケやボーリングに行って遊んでいた事や夏休みを利用しレンタカーで海に遠出した懐かしい話をしたりと隼人と絢香は二人で盛り上がってしまい桜が横に居るのを一瞬忘れる程だった。そして入学して早々に隼人は女子の注目の的になりモテ男だった事を打ち明けると桜も話に加わってきて「何人位に告白されたんですか?」とか「彼女が居なかった期間はどれ位ですか?」等と質問攻めだった。
───あぁ…桜ちゃん隼人の女性関係気になるんだね。そうやってリサーチしてこれからに生かすとか??
話を繰り広げている間にも頼んだ料理が順番に届き更にお酒もお代わりして三人共ほろ酔い加減になっていた。
「はぁ~喋った喋った。濱島さんに俺の過去バレちゃったな。」
頭をクシャッとかきながらそう話す隼人。
「いや、でも予想通りでしたね。私の思っていた久保山さんは正にモテ男君でしたから。」
「そぉ?」
「はい。うふふ。」
「褒めてもらって気分良くなった所で俺御手洗行ってくるから二人で話してて。」
隼人はそう言ってご機嫌に立ち上がり席を後にするとその隼人の背中を暫く見つめていた桜が今度は絢香に顔を戻し髪の毛を指先でいじりながら話し始める。
「久保山さんて本当に優しい先輩なんですぅ。」
「そ、そうなんだ。」
「この間も私ミスしちゃったんですけど最後までずっと一緒に手伝ってくれて。」
「そぉ…。」
「今まで会った男性の中で一番優しいかもって思いましたぁ。」
───また顔がとけてるよ。隼人の事となるとこうなっちゃうんだ。分かり易いけど。
「私恵まれてるなって思います。」
「何が?」
「久保山さんと毎日一緒に側で働けている事に。」
桜は絢香を上目遣いで見ながら何処か勝ち誇った雰囲気でそう言ってきた。
───その目っ、、何っ!?
「たまにミスはしちゃうんですけどそれでも私を凄く褒めてくれたりするんで仕事頑張ろうって思えるんです。久保山さんのいる会社に入社出来て幸せです。」
「それ隼人が聞いてたら喜ぶんじゃないかな…はは…。」
───なんかやっぱりマウント取ってる?
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