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「家の両親も久保山さんの人柄をとっても気に入っていてまた連れて来てねって…ふふ。」
───え?それって桜ちゃんのご両親に会ったって事よね?隼人は家に行った訳?は?
「へ…へぇ~。ま、まぁ隼人のあの営業トークでどんな相手とでもあっという間に打ち解けちゃうからねぇ。桜ちゃんのご両親じゃ無くても仲良くなってたかも~。」
───言える程隼人の営業トークなんて聞いた事無いけどなんか負けてらんないわこっちだって。
絢香の言葉を聞いた桜の顔が一瞬にして曇りフッと笑顔も消えた時隼人が御手洗から戻って来た。
「あれ~何話してたの?あ~、まさかまた俺のイケてる話とか?」
「自分で言ってる~久保山さんてばぁ。」
沈んだ顔がたちまちパァッと明るくなる。そして桜は鞄と一緒に持って来ていた茶色の紙袋を手に取り隼人の前に差し出す。
「あ、久保山さん。これこの間のジャケットです。」
「そうだった。すっかり忘れてた。」
「クリーニングしてあるので直ぐにまた着られますよ。」
「ありがとう。」
「いえ。」
───隼人のジャケットを何で桜ちゃんが持っている訳?隼人がジャケットを脱ぐ理由があったって事よね?あぁ、家に行った時に忘れたとか?何?何なの?
隼人に紙袋を渡した桜はチラリと絢香に目をやり口元だけで笑って見せた。
───っ、、
隼人を渡さないという絢香への対抗心をひしひしと感じた絢香は完全にライバルスイッチが入ったのだった。
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