可愛いなっ、、

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珍しく急に昇から仕事終わりに連絡が入り隼人は指定された呑み屋に向かっていた。駅に着き店へと歩いていると見覚えのある背格好の男性が少し前を歩いているのが目に入り早歩きで近付き声を掛けるとやはり昇だった。二人はそのまま一緒に店へ入り案内された席に腰を下ろす。 「お疲れ~。今日隼人空いてて良かったぜ。」 「こっちも真っ直ぐ帰る予定だったから声掛けてくれてありがとうな。」 タッチパネルを覗き込み生ビール二つと枝豆、ポテトフライ等数品注文し先に届いた生ビールで乾杯した。昇と隼人は二人でこそ余り会っていなかったが大学の皆では顔を合わせていた為お互いの近況報告は仕事の事からプライベートに至る迄概ね頭に入ってはいた。それなので話す内容と言えば男同士の下らない下ネタやスポーツ、特にサッカーの事ばかりでまるで教室で昼休みに机に座って喋る男子高校生の様だった。 「あはは。昇それはかなりヤバいぞ。彼女に絶対言うなよ。」 「言わない言わない。ドン引きされるの目に見えてるからな。下ネタ嫌いだし彼女。絢香位じゃないか?そのノリについて来られる子。」 「はは。だな~。」 「呼ぶか!絢香。暇かな…。」 「別に構わないけど。」 昇がふいに絢香を思い出し胸ポケットからスマホを取り出し電話を掛けた。 「もしもし絢香か?今隼人と吞んでてさ。来るか?」 「え!良いの!行く行く。」 ───きゃっ、昇気が利くじゃない。今日は桜ちゃんも居ない訳だしアピールするわよ~。 絢香は昇からの連絡を受けた時はまだ会社のロッカールームに居たが隼人も一緒だというその呑み会に二つ返事で返しルンルンで会社を出て教えてもらった店へと向かったのだった。 「よ~絢香。こっちこっち。」 昇が絢香に向かって手を振ると後ろを振り返る隼人の姿があった。 「よぉ。」 「この間振りだね。」 席につくと絢香は生ビールを注文しお絞りで手を拭きながら二人に混ざっていく。 「二人で吞んでるなんて珍しく無い?」 「そうなんだよ。なんか急に隼人と吞みたくなって連絡したら今日空いてるって言われてじゃあ吞もうぜってなったんだよ。な?」 「うん。たまには男同士で~なんて思ってたんだけど昇が絢香呼ぼうぜって言いだした。」 「隼人、男二人だけで吞みたかったのか?マジ?照れるな。」 「ちげーよ。キモイぞ昇。」 「あはは。ま、何にせよ私を誘ってくれたのは嬉しいけどね~。」 「あぁ。絢香面白いしな…あ、鈴葉も呼んでみるか?」 「良いけど私鈴葉とはちょくちょく連絡したりしてるよ。つい最近も電話で話したし。」 「へ~そうなんだ。でもさ女って電話好きだよな。何時も何話してるの?」 「えっと…この前はお互いの恋バナとか。元気無かったなぁ鈴葉。」 「どうかしたのか?鈴葉。」 「いやさ…まぁこのメンツだから話すけど鈴葉元彼と偶然会っちゃったみたいなんだよね。それで元彼がよりを戻したがっているんだって。まだ鈴葉を想ってるって。」 「ほぉ~。鈴葉もやるじゃん。一度別れた男にそんな事言わせる程良い女だったんだな。幼なじみとして鼻が高いぜ。なぁ、隼人もそう思わないか?」 「…え、あ、あぁ。そうだな…はは。」 ───隼人何だかぎこちなくない?どうしたのかな…。 昇の問い掛けに表情を少し強張らせ答えた隼人を絢香は見逃さなかった。
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