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「鈴葉。」
「久保山君…。」
職場を出ると名前を呼ばれふと振り返れば壁に寄り掛かる隼人の姿があった。このシチュエーションは前にもあったと記憶が蘇りまた兄のバーを手伝って欲しいと頼まれるのかと頭を過った。
「お疲れ。」
「お、お疲れ様…どうしたの?」
───びっくりした。またお兄さん体調崩したの?
「良かった。今日も早めに出てきてくれて。」
「うん。残業無いからね。」
「腹減ってない?」
「お腹は空いてるけど…。」
「飯行かない?」
「え…。」
───二人で会うのはもう、、
「鈴葉に話したい事あるんだけど。」
「私に?」
───何だか雰囲気が何時もの久保山君じゃ無いみたい。顔だってヘラヘラしてないし。
「今ここでじゃ駄目かな?」
「人も通るし場所変えたい。店入らない?」
「…分かった。」
鈴葉は隼人の急な誘いに返事をしたが同時に先日の弘道との一件を思い出し内心困惑気味だった。
「ありがとう。じゃあ電車乗って途中降りた駅で適当に店入ろう。」
「うん…。」
「食いたい物ある?」
「久保山君に任せるよ。」
「了解。」
二人は話が纏まると駅へと向かい電車に乗り込んだ。四つ先の駅で下車し混み合う車内から解放されると二人は駅近の居酒屋へ入って行った。火曜の夜と言うこともあり店内は空いており店員が好きな席をと促すので二人は奥の四名掛けの席に腰を下ろした。隼人に抱きしめられてから向かい合って初めて顔を合わせる鈴葉は何処かソワソワと緊張し目線も合わせずらかった。
「何呑む?」
隼人の問い掛けにはっとし動揺する鈴葉。
「っ、えっと…あ、レモンサワー頼もうかな。」
「レモンサワー良いな。俺も同じの。」
隼人がタッチパネルでドリンクと適当に料理も数品注文しドリンクが届く間お絞りで手を拭きながら鈴葉と他愛ない会話を始める。
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