471人が本棚に入れています
本棚に追加
その後も会話やお酒もどんどん進み話題は昇と鈴葉の幼い頃の話になっていた。家が近くて通う幼稚園からなんと大学迄も一緒な二人。こんなに重なる人生なんてあるものなのかと隼人も鈴葉自身も不思議に思っていた。
「まぁさ、私のお母さんと昇のお母さんが本当に凄く仲良くて昔から何でも話せる様な仲な訳なのよ。それで子供の進路とかも勿論話してただろうし高校も大学も私の意思ではあったけどお母さんにも勧められてって言うのは少なからずあったしね。だからきっと昇のお母さんもそれとなく昇に私と同じ学校を勧めていたのかな~なんて思ってる。」
「成る程な。幼なじみが一緒の学校なら親的にも安心だしな。」
「そうだね。」
「けど昇自身が鈴葉を追い掛けてどうしても同じ学校に入りたかったとかも考えられ無くは無いよな。」
「え~、それは無い。」
「どうして?」
「私を追い掛けるメリットが見つからないもん。誰かと一緒の学校じゃなきゃ不安?とかそんな女の子じゃあるまいし…。」
「言い切れる?」
「うん。」
「へぇ~。」
隼人は覗き込む様にして鈴葉の顔を見る。
───久保山君?何考えてる?
「じゃあさ、もしそうだとしたら鈴葉はどう思う?」
「う~ん…そうねぇ。あぁ、昇はよっぽど私と言う幼なじみが好きなのねぇ~って思うかな。はは。」
「幼なじみがね。そっかぁ。」
鈴葉のその言葉に隼人は何故か口角を上げる。
「で、話は変わるけどプライベートの悩みってのはやっぱコレの事か?」
隼人は親指を立てながら言う。
「あ…思い出しちゃった。うん。その通り。」
「悩みの原因は?」
「まさかの浮気現場を目撃した…です。」
「おぉ。それは大分キツいな。」
鈴葉はあの日自分の目に映った弘道とその女性との光景を事細かに詳しく隼人に伝えていく。だが一言一言声を発する度に胸が締まって目には涙が溢れ今にも不安でわぁっと泣き出してしまいそうになっていた。だが隼人を前にしんみりとした姿を見せたくはないと先程追加注文したジンライムを手にしグイッと涙も一緒に呑み込んだ。
「ぷはぁ~っ!」
「大丈夫か?」
「え?何が?私?」
「うん。」
豪快に呑み干した鈴葉を横に隼人が少し心配している。
「な~んか久保山君に全部話聞いて貰ったらすっきりした。でもそれと同事に段々腹立ってきちゃったな。」
するとタッチパネルを手にしジンライムを自ら注文する。
最初のコメントを投稿しよう!