愛の重さ

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弘道の去った後隼人はまだトロンとした顔の鈴葉を見下ろしその表情を堪能している様だった。 「はぁ…はぁ…。」 息が整い始めると鈴葉は自我を取り戻し隼人から離れた。 「いきなり何してるのよ久保山君はっ。」 「え?何って…キスの事?」 「目の前に弘道さんが居たの分かってたのにどうしてこんな強引に、、」 「あの人が鈴葉にこれ以上寄り付かない様に見せ付けてやっただけ。」 「見せ付けるって…、、」 「もう姿現さないと思うぜ。鈴葉のあんな顔見せられたら男のプライド丸潰れだからな。」 「あんな顔…。」 ───私が久保山君の深いキスで溶かされてた顔って事だよね。そうだ。私はまた久保山君に求められ体が反応してしまったんだ。 「で、これであの人も理解したはず。俺が鈴葉のただの男友達じゃ無いって言う事をな。」 「そうだけど。でも私達付き合ってる訳じゃ、、」 鈴葉がそう言い掛けるとふわりと体が包まれ隼人がこう言う。 「今日連絡しないで来たのは鈴葉に俺の気持ち伝えてから気になって仕事も余り手に付かない感じでさ。それに元彼と会ったとか聞いてたし。鈴葉がそっちに気持ちが向いて行ってしまうのが凄く嫌だった。」 ───そんな風に思ってたの? 隼人が気持ちを打ち明けてくれた時もそうだがこんな自分を好いてくれている事が正直嬉しかった。心までをも全てを委ねてしまえる程に既に鈴葉の気持ちは隼人に傾いていた時弘道がその気持ちにブレーキをかけ二人の間で揺らいでしまった。だが鈴葉を想う嘘偽りの無い隼人の心とそしてそんな隼人に求められれば止めようのない位に隼人を受け入れてしまう自分に答えを出せそうな気がしていた。 弘道に自分が目の前で隼人にキスをされているのを見られていた時勿論動揺はあった。今すぐにでもこんな恥ずかしい行為を止めて欲しいと頭を駆け巡った。けれど鈴葉の奥底の本心はそうでは無かった。あんな状況であったにも関わらず隼人にもっと深く求められたいとさえ思っていたのだった。 鈴葉は隼人の腕の中で今夜はとりあえずこのままお互い家に帰ろうと提案をすると隼人も小さく頷きゆっくり鈴葉から体を離し帰って行った。 ───────────
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