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翌日。私は完成した名簿を高松さんのところに持って行こうとした。
そしたら。
本当に高松さんがいなかった。教室探してもいないから、図書室とかかな、と思って行ってみたけどそこにもいず、そこで休み時間が終わっちゃったから次こそと思ったらまたいないし、トイレにでも行ってんのかなと思って、ちょっと教室で待ったりもしたけどいないし。
それで、昼休みにやっと見つけたんだけど。
「え?私ずっと教室にいましたよ、今日」
は。
絶句でした。
どれだけ存在感薄いの。逆に尊敬する。これだけの薄さなんだったら、授業中こっそり教室抜け出したって気付かれないでしょ。私だったら絶対悪用するけど、それをしてない高松さんはえらい。え?実はしてたりするのかなあ。
いやいや、本題に入りますと実は私、さらに名簿を細かくしちゃいました!
自己紹介カードにかいてあった好きなものシリーズとか徹底的に写した、完っぺきなやつです。そうしたら、お祝いする時に何か役に立つかもと思って。
あと、一応昨日手伝ってくれた感謝もあって。
「すごい……内海さん。ここまで丁寧にやってくれるなんて」
うん、ちょっとやりすぎかもって自分でも思ってます。これで役に立つかな?
「ええ、もちろんです!……そうですよね……」
そしたら高松さん、突然黙り込んじゃった。えっと、私の名簿、どこかおかしいとこでも?
「いえ、そんなんじゃなくて……‥やっぱりそうですよね!私、内海さんがこんなに本気なら、もっと頑張ろうと思ったんです。だからこれからも、よろしくお願いします!それと、名簿貸してください。諫山くんにも報告してくるので!」
は、はあ。
私、そこまで本気に見えましたか……。
なんか高松さん、色々と企んで……いや、すごいことを考えてそうで、ちょっとこの先を心配しつつあります……。
そしたら、その心配が現実になっちゃいました。次の休み時間にすぐ、授業終わりに高松さんが読書中の諫山くんを無理やり引っ張って私の席に来たの。すごい目を輝かせてたんだよ。まあでもそれも、高松さんにしては、ってわけで、普段はわりと根暗っぽい感じだったから、だんだん気が狂ってきそう。そういうキャラだったっけ?いや違うよね。うんうん絶対違う。
「内海さん、私たちはバースデー係として、もっと真面目に活動するべきだと思うんですよ!」
いやそういうキャラなのかも。ていうかもうすでに、他の係と比べてかなり真面目にやってるんじゃないですか……。
「そうですかね?今よりもっと、活動するべきだと思うんですけど。だから諫山くんに、こんなの作ってもらったんです」
諫山くん、手に持っていたノートの切れ端をばっと広げた。
『バースデー係の四箇条』
はあああ?
『その一 常にその日の“主役”のことを考えて行動すること
その二 係活動に私情を持ち込まないこと
その三 全員が協力すること
その四 最高の誕生日を作ること』
……き、君たちは天才なのかそれともただいっちゃってるだけの人なのか分からんっ。
「てなわけです。これから私たちバースデー係は、この四箇条に沿った行動を取りましょう」
で、でも高松さん。渋谷はまともに係活動してないけど……大丈夫なの?
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