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No.1 初めてのハッピーバースデー[平岡月乃 5月12日]
1.活動スタート
「はい、それでは第ニ回学級会を始めます」
すっかり学級会係に慣れた藤乃さんはお馴染みのセリフをすらすらと唱えた。
席替え後、窓際の一番後ろになった私は、もちろん学級会に真面目に参加するつもりはありませーん。こんな貴重な席、滅多になれないでしょ?一ヶ月後の席替えまでに、この窓から入ってくる涼しい風を、目いっぱい楽しませていただきます!
でもだからって、今日は寝るわけにはいかないのよね。学級会の後の係活動で、大事な仕事があるから。それも、つい一週間前の帰りの会での出来事を聞けばわかるはず。先生に、バースデー係に決めましたって報告したときのこと。
「あのー、バースデー係に決めたんですけど」
「バースデー係?うん、いいんじゃないか?活動内容によるけど」
そんなテキトーな。
「活動内容はどういう感じ?」
ぐっ。全く考えてなかった……っ!仕方なくその通り報告。
「そうか、じゃあ今日はもう時間がないから、次の学級会で考えるように」
「は……はい……」
ってなわけで今日は、活動内容を考えます!それも具体的に、責任者とか決めなきゃいけないの(サイコーにめんどくさい!)。責任者は決まりつつあるからまだいい。それも、ほぼ私に決定で。それまで班長とか代表とかリーダーとか全っ然やったことないから、できるかどうかは謎なんだけど。そもそもこの集団にまともな人がいないっていうのが最大の理由で……最悪です。で、副責任者はなんとなく流れで諫山くん。っていうのもちょっと心配です。
だけど、本当の問題は活動内容。確か小三の時にも、誕生日係という名のものがあった記憶がある。その時は、給食を食べる前に係の人が前に出て、
『今日は〇〇さんのたんじょーびです!』
みたいに言って、軽く歌うたって、それで牛乳で乾杯して終わりだった。
小四の時は、先生が毎月一回誕生日会兼お楽しみ会みたいなのを開いてくれて、それでおにごっことかハンカチ落としとかして遊んでた。それで終わり。
そう、そもそもみんな人の誕生日に対して興味がなかったんだ。私が係決めに全く興味を示さなかったのと同じくらい。いや、それで普通だと思うのも別にいいと思う。
だけど、昨日の夜ちょっと考えたことがあって。
無理にお祝いされて、嬉しいかどうか。誕生日係っていうものがあるのなら、やるからにはちゃんとやりたい。なんとなく流れで、何の気持ちも込めずにお祝いするんじゃなくて。
本当に、その人にとって最高の一日になるように、やるからには全力でサポートしたい。
そもそも誕生日って、その人が生まれた記念日なんだから、きっとその人にとって特別な日だし、適当にお祝いされたくないはず。でも、大抵の人はどうしても他人の誕生日に対して、そんなに気持ちを込められない?っていうのはわかる……けど。
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