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そしてなんとか高松さんの協力もあり、六時間目内で全員の誕生日の記録が完了しました!うん、それなりの達成感。
その間、渋谷朝汰は相変わらず行方不明だし、諫山律は隠れて読書、まともにやったのは高松さんと私だけ。まあそんな感じになるだろうって思ってたんだけどねえ。名簿片手に席について、今度はそれを誕生日順に並べていると、丁度チャイムが鳴った。へ?六時間目もう終わり?めちゃくちゃ中途半端だなあ。
てなわけで、帰りの会中も私はランドセルの影で作業中。何しろ一番後ろだから気付かれないんだよ最高かも。
「これで帰りの会を終わります。先生からの連絡です」
日直の声を遠くに聞いていると、一つ前の席の萌音が振り返った。
「今日一緒に帰れ……」
ん?なんでしょう?
「起立〜」
気がついたら帰りの会終わってた。気をつけ、礼、さようなら……ランドセルを早々と背負って一番を争うように教室を出て行く男子を横目に。萌音は私の方を向き、名簿を覗き込んだ。
「萌音、さっき何か言った?」
「玲子ちゃん、意外と真面目にやるんだね」
……そうかな?
「基本こーいうのはテキトーなイメージあったから。それにこんな意味不な集団の中でさぁ。何度も言うけど、ほんとえらいよ」
「そうかなー」
一応こう言っておいたけど。バースデー係って、意外と楽しいかもしれないんだ。なぜかわかんないんだけど。名簿扱う系の仕事が、私の趣味なのかもしれないけど。
今となっては不思議と全然、めんどくさいって思わないんだよ。係活動なんて今までずっと真面目にしたことなかったから、萌音がこういうのもわかるんだけどね。
とは言わないでおいた。
「萌音、一緒に帰ろ〜」
「あ、うん、帰ろ〜」
私が教室を出た時には、すでに廊下は静まり返っていた。
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