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プロローグ
「今日の学級会では、係を決めます」
突然、担任の山田先生が言った。何の特徴もない白菊(しらぎく)小学校、六年五組の教室が少しざわめく。
けど、私は黙っていた。
係決めって、そんな大事?
私は今までずっとそう思っていた。係活動なんて、そもそも興味のかけらもない。
学級会でクラスをまとめる学級会係みたいな目立つ係とか、掃除ロッカー整頓係とか地味な係とか、意味もなくなぜか色々あるけど、希望した係がかぶったら、なぜか全力でジャンケン。その人の心情が、はっきり言って全く理解できません。
だって活動時間なんて、一週間に一回くらいでしょ?水曜日の六時間目、みんなが半分寝ながら、または疲れた目を無理やり開けてなんとか真面目にしようとしている学級会で、最後の二十分間、話し合うだけでしょ。
それだけで、なんでそんなに騒ぐの?みんな気合い入れるとこ間違ってるよ。
そんなわけで、私は黒板に書かれた各係とその定員人数をぼーっと眺め、ただひたすらに時間が流れるのを待っていた。そうそう、結局最後に残ったのをやればいいってわけ。あー平和ー。脳の休憩時間。
でもそういうわけにはいかず……。
「一人どれか一つ、まず希望してください。黒板に係を書くので、その下に名前を書くように」
えええ?ぜ、絶対一つ希望しなきゃいけないの⁉︎
こういう時、私が基本バカだと思っている男子は早い。異常に早い。
隣の席の森崎とかその後ろの三室とか風のようなスピードで黒板前に向かってチョークを手に取る。向かう先は理科係。理由は簡単、ラクだから!
それにしてもあのー。これ、早い者勝ちじゃないんですけどねえ。
「ねえ、どうする?一緒に図工係やろうよー」
何かと迷う女子が黒板前に溜まっている。いやそこ、迷うとこでもないと思うんですが。
そんな解説を入れつつ、私は一番最後に立ち上がった。残ったやつでいっか。えーと誰も希望してない係は……。
うそ〜。意外と選べない。
なんでかって、誰も選んでいない係がまずなくて、どの係も一人は希望している。
&一人しか希望してない係の希望者が全員男子。
男女一人ずつって、なんとなく気がひける。後から希望すると余計に。
絶対に噂されるとは限らないんだけど、
学級文庫整理係を希望したら、「鷹取のこと好きなの?」とか言われる。
日付係を希望したら、「栗坂と付き合ってんの?」とか言われる。
その他、どれを選んでも必ず男子一人と一緒になる。
神様、いじめてますか?
と言っても他の係に入るわけにもいかないし。
理科係は大人気でヨユーで定員超えてる。ジャンケンでもめたくないから却下。あとは全部「仲良しグループで決めました!」感が溢れてるから却下。
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