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〈26〉腐男子にはかなわない
放課後、美術室にて。
「ねー永田氏、八代先輩と正式に付き合うことにしたってほんと!?」
「……は? 何を寝ぼけたこと言ってるでござるか雨宮氏、それはどこ情報でござるか」
「俺情報!」
「だから勝手に捏造すんな!!」
永田氏ってば、八代先輩に惹かれてるのは傍から見てもバレバレなのに、どーっっしても認めたくないらしい。
だから最近は『勘違いしないでよ! アンタのことなんか全然好きじゃないんだからねっ!!』ってテンプレのセリフを真顔で言っちゃうような、立派なツンデレヒロインキャラになりつつある。素晴らしい。
「じゃあもう新しい二次元の嫁は見つけたの?」
「う……それはなかなか見つからないでござるけど……」
永田氏のあこりん後遺症はなかなか根深いらしい……ガチで好きだったんだねぇ。けど二次嫁探ししてる余裕なんか無いって感じだけどね! 八代先輩の相手が忙しくて。
なんだかんだ言って、八代先輩のこと絶対に無視したりしないもんね、永田氏。それって愛だよね! 無意識なところがまたオイシイ。
それと、永田氏に彼氏……というか恋人ができてリア充化することで、美少女ヲタ仲間との関係に亀裂が入りそうだったけど、別にリアル美少女の彼女が出来たわけじゃないからそのへんは大丈夫らしい。むしろ同情的な目で見られているとか……。
萌えるなら分かるけど、何で同情されるのさ!? 腐男子としては納得いかないぞ!!
イケメンで優しい年上の彼氏とか最高じゃん! まあ、それは俺もなんだけどね!!(決して永田氏に便乗して自分がノロけたかったわけじゃないよ!)
「永田くん、部活終わった? 一緒に帰ろう」
「あ、早速彼氏が迎えに来たよ永田氏ー!」
「彼氏じゃねーし……」
八代先輩は三年生だからもう部活は引退していいみたいなんだけど、後輩の指導しながら永田氏の部活が終わるのを毎日待ってるんだって。健気だよ~超泣かせる~。で、毎日美術室まで迎えに来る。そんで一緒に帰ってる。
いっそのこと美術部に入り直せばいいのに!! ていうか何もしなくてもただそこに(永田氏の隣)いるだけでいいのに!!
――って俺やりっちゃん達は思うんだけどね。
永田氏は、もう抵抗するのに疲れたらしい。八代先輩、全然人の話を聞かないんだって。
だから大人しく手も繋がれて、キスも受け入れてるとか……。
これでも全然好きじゃない、付き合ってなんかいないって言うんだから、もう俺にはわけがわからないよ! お付き合いの定義ってやつが! 永田氏、不健全だよォォ!! 南條先生と付き合ってる俺が言うなってハナシだけどね!
八代先輩はそれでも全然構わないみたいで、いつもニコニコしてる。メンタル強いです。
「……でも、まだエッチはしてないんだよね?」
「これからする予定もねーよ」
「いやいや、永田氏絶対流されるでしょ!? 既にキス許しちゃってるんだから、押し倒されたらセックスも簡単に許しちゃうんでしょお!? 嫌よ嫌よも好きの内だよ~とか言われちゃってさぁ! なにそれ超萌えるんだけどぉ!! ヤバい!!」
「ンなわけねーでござる!! 変な妄想を口にすんなぁぁ!!」
またそんなこと言っちゃって……拒否出来るなら最初からしてるよね? 永田氏ってば本当、素直じゃなくて可愛いんだからー!!
ああ、吉村君以上に可愛い天性の受けちゃんが俺のすぐ隣にいたとはね! 神様、本っ当にありがとうございます!!
「じゃあ八代先輩、永田氏のことよろしくお願いします! あ、最初は優しくしてやってくださいね、できれば素股くらいから……」
「えっスマタ? は??」
もう八代先輩てば、トボけちゃってー!
八代先輩はイケメンで人当たりがよくて女子に弱いみたいだけど、本命にはかなり強引でエロくて一生受けを部屋に閉じ込めておきたい願望のあるサイコ攻めってこと、俺はしーっかりと見抜いてるからね!!(※妄想)
腐男子ナメんなよぉ~!
「雨宮氏ぃぃぃ!! この腐男子!! 黙れぇぇ!!」
「腐男子だけど黙りません!!」
「ははっ。永田くんと雨宮くんは仲が良くていいなぁ~」
「その笑顔が恐いです、八代先輩……!」
「えー?」
これから永田氏がどんな萌えを提供してくれるのか、想像するだけでニヤニヤしてしまう俺なのでした!
番外編・永田隆星は腐男子ではない【完】
読んでくださってありがとうございました!
八代先輩×永田氏の番外編はもう一つあるので、後日うpいたします。
すずなりたま
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