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そして、その会議の後。 自分のデスクに戻り、営業に出る準備をしている時、隣のデスクの冬野が言った。 「夏村、俺と勝負しない?」 「勝負?」 数冊のクリアファイルを手に持ち、 それを鞄に入れて行く。 「そう。勝負」 冬野が提案して来た勝負の内容は、とてもシンプルなもの。 お互いが担当している【笑い鳥】の店舗の12月後半の合算の売り上げ勝負。 私の方が担当店舗数が多いので、有利なのに。 現に、いつも担当の全店舗の合算なら私の方が冬野より少し売り上げてる。 「それくらいのハンデ、俺余裕だし」 勝気満々の、冬野。 「お前、男と別れてから腑抜けてるから」 冬野のその言葉に、怒りよりもギクリとした感覚が湧く。 最近、私が今一つ仕事に身が入っていないのは、やはりその事なのだろうか、と、他人に指摘されて改めて思う。 現に、12月前半の売り上げは、冬野に負けているみたいだから。 2ヶ月前に、約二年付き合ったエリート商社マンの彼に、私はフラれた。 このままこの人と結婚するのだろう、と思っていただけに、人生設計が狂い先行きが見えなくて、少し不安になっている。 「じゃあ、その勝負、受けて立とうかな?」 恋愛が駄目になった今。 暫く私は、仕事に生きる。 これでも、私は仕事が出来る方だから。
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