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「冬野とこうやって二人でご飯行くのって、初めてだよね?」
「いや。あるだろ?」
冬野にそう言われ、ランチは数回あった事を思い出した。
冬野とは担当店舗は違うけども、仕事関係で同じ場所に行く時や、出先でバッタリと会った時とか、その流れで。
でも、ランチは慌ただしく食べて終わりって感じだから。
こうやって、落ち着いて二人で向かい合ってご飯を食べるなんて初めてで。
そう思うと、さらに緊張して来る。
店内は静かで薄暗く。
暗いけど、テーブルを照らすようにある間接照明に照らされ、向かいの冬野の顔がハッキリと見えていて、逆からもそうなのだろうか。
電車の乗り過ごしで慌てて来たから、メイクも直さず来た事を後悔してしまう。
唇もかさかさ。
「夏村、酒飲む?」
「え、うん。明日は土曜日だしね。
とりあえずビールお願い」
お酒を飲んで、このなんとも言えない緊張を緩和しよう。
このお店は、創作居酒屋のようなお店で。
ちらりと見えるおしながきには、沢山の種類のお酒の名前が書かれている。
私、お酒が大好きだから、気持ちが弾む。
「俺もとりあえずはビールでいいか。
料理も俺が適当に頼むから」
冬野は近くに居た女性店員さんに生中2つを頼み、
おしながきを広げて、料理を注文して行く。
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