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「夏村」 「はい!」 急に名前を呼ばれ、声が大きくなる。 「俺、実はあの後、近藤からお前の事色々聞いてた」 「え?美里に?」 あの後って、あのランチの時の事だろうか? 一体、美里から何を聞いていたの? 「夏村から母子家庭な事とかは前から聞いてたから、 なんとなくは想像してた事だけど。 近藤からはもっと詳しく、お前は弟や妹の学費の為に、収入の良い男を掴まえたいとか」 「あ、まぁ…」 冬野には、告白された時に、自分よりも200万以上年収のある人が良いとか実家が裕福な人が良いとか言ったな。 でも、その理由迄はちゃんと話した事はなかった。 「さっき、夏村は俺の事を好きだと言ってくれたけど。 お金の事が不安で俺と付き合えないとかなら、それは心配しなくて大丈夫だから。 実は…」 「もう、それはいいの! 冬野が私より年収低くても、実家が裕福じゃなくても! 私が、今よりもっともっと仕事頑張るから! 家族の事も、なるべく冬野には迷惑掛けないようにするし。 冬野が子供も欲しいなら、一人くらいなら」 出産ギリギリ迄働いて、産まれたら母親に協力して貰って、すぐに仕事に復帰してもいい。 「こ、子供?!」 確かに、いきなり子供の話は早すぎたか。
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