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その後。
出来る営業マン冬野の行動は、とても早かった。
岡崎社長が用意してくれたグレースホテルのジュニアスイートの部屋では、冬野は抱擁以上の事はしなくて。
「いつか、この部屋よりもっといい部屋を、俺が用意するから。
やっぱり、他の男が用意した部屋で夏村にそんな事する気になれない」
そう言われて、その日は直ぐに解散になったのだけど。
翌日の土曜日の昼、私は冬野の実家に招待された。
婚約者だと。
冬野に車で自宅迄迎えに来て貰って。
冬野の実家近くのパーキングに停め、少し歩くと、立派な近代的な一軒家が現れた。
まさか、この家?
「え、凄い立派な家」
お世辞とかじゃなく、本当にそうで。
今日は車で来たけど、駅もすぐそこで。
外壁の向こうには庭もあり、ガレージに停まっている車は高級車。
冬野の両親って、お父さんが公務員でお母さんが専業主婦だよね?
だって、前に冬野が、父親が公務員で転勤が多いから、母親は昔からずっと働いてなくて…って。
転勤…?
もしかしたら、私は何か思い違いをしていたのかもしれない。
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