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この人とは、気が合うだけじゃなくて肌迄ピッタリ合うのだと、
抱かれる度に思う。
今も、この人と裸で抱き合い、自身の中心を貫かれる度に、頭の芯迄甘く痺れるような快楽が全身を包む。
この人との関係は、俗っぽい言葉でいうとセフレ。
付き合ってはないけど、これはオフィスラブなのだろうか?
「――俺、もう無理かも」
勢いよく私の体を揺すっていたのに、
それがピタリと止まる。
力が抜けたように、私の上にピッタリと覆い被さって来た。
この人のしっとりと汗ばんだ背中を撫でるように、私は両手を動かす。
それに、少しくすぐったそうに笑っている。
「夏村、腰はこそばいから、ちょっと辞めろ」
こんな時でも、この人は私を下の名前の花梨(かりん)ではなく、
夏村(なつむら)と上の名前で呼ぶ。
「いいよ。…冬野」
許可をするように、この人の後頭部を撫でる。
見た目はさらさらとしているけど、
こうやって触れると、女の私の髪とは違い、固さを感じる。
「やっぱり、もうちょっと頑張ろっかな」
そう言いながらも、耐えているように一向に動き出さない。
同期の冬野透(ふゆのとおる)と、こんな関係になったのは、
それは今から3ヶ月前―――…。
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