深夜

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深夜

茂川と入江は深夜になるのを待って学校の中に入るつもりでいた。 「そろそろ深夜になりますね。そろそろ行きますか?コンビニで買ったこのおにぎりを食べてから学校に入りましょう」  「そうだな入江刑事、早く夕飯のおにぎりを食べてしまおう。そうだ事件が解決したら私が入江刑事と佐藤刑事と小池刑事にうまいもんでもご馳走するよ。野上先輩の無念を晴らすために早く事件を解決しないとならないからね」   「ご馳走楽しみにしてますね。早く解決したいものです。随分と時間がかかってしまいましたからね」  「ところで入江刑事?」  「何ですか?茂川さん?」 茂川は部下の入江に何か聞こうとしたが茂川は何も言えなかった。  「嫌、何でもない急ごう」  茂川はそう言って入江刑事と二人で「埼玉県立南高校」の校内に入って行った。 「入江刑事静かにそっとトイレに行くんだ。入江刑事私は職員室の近くのトイレに行くと思うんだ。二年C組の教室の側のトイレには行かないような気がする政夫君なら何となく。とにかく行ってみよう」 二人は職員室の近くのトイレに向かった。  「入江君おかしいと思わないか?職員室近くのトイレに来るまでの間二つのトイレの前を通った筈なのに警察関係者が誰一人トイレを見張ってない。まさかたくさんいた刑事達は私達が来る前に体育館で眠らされている?とかそんな事ないよな?たぶん」  「茂川さん私、見て来ましょうか?体育館で皆さん順番でパトロールをしている筈ですからね」 その時、茂川は言った。「じゃあお願いするよ。その前に入江刑事、君がトイレを見張るように連絡入れてくれたんだよな?間違いなく」 入江は少し怒った感じで言った「まさか疑って るんですか?私を?私はちゃんと電話で伝えましたよ」  茂川は「そうか〜こんな仕事してると人を疑う癖がついてしまって申し訳ない。ただ、気になっていたんだ少し前から入江刑事の携帯電話のストラップが〜どうしても。そのストラップ宮田刑事とお揃いだよね。  偶然なのか?私は音無先生と宮田刑事の携帯のストラップが一緒で二人で写っていた携帯画面から音無先生と宮田刑事が付き合っていたのだろうと思い部下にその事を伝えてしまった。  でも本当にそうなのだろうか?携帯のあの写真本当の恋人を隠すために細工して携帯の待受画面にしたんじゃないか?バレないように。  それにこの事件を入江君と一緒に捜査してわかった事がある。入江君は三好政夫の事をずっと前から知っているような感じがするんだ。 何か隠してる事があるなら話してくれないか?」 入江は「何もないです。考えすぎですよ。とにかく刑事達を見て来ます」 入江はそう言って体育館の方に走って行った。  茂川は入江がいない間学校の中にいる小池刑事に電話を掛けた。そして電話で言った。  「三好政夫が犯人だ。三好政夫は冠城幸助を恨んで復讐するつもりだ。トイレに三好政夫は必ず来るトイレを囲んでくれ。私は今職員室近くのトイレにいる」そう電話で言うと体育館にいた小池は言った「えっ?トイレを囲む?深夜に政夫がトイレに行って冠城先生に復讐するってことですか?トイレで?」 茂川は言った「入江刑事から何も聞いてないのか?だとしたら入江刑事も三好政夫と同じだそこにいたら危ない。  入江が刑事達に何かするかもしれない。 今すぐ体育館から出てとにかく三好を見つける事が先だ。三好と入江が仲間だとしたら警察の動きもトイレを見張る事もバレたことになる とにかく三好を探そう。そして冠城先生の命も守らないと」 茂川はそう言って電話を切った。   その時、茂川は小池にもう一度電話を掛けた。 「小池刑事私は間違ってた。三好が冠城先生と会って殺そうと考えるとしたらそれはトイレじゃない!屋上だ!今から私も屋上に行くから小池刑事達も近くの刑事達を何人か連れて屋上に来てくれ。  小池刑事と数人の刑事は屋上に向かった。 そこには屋上に来たばかりの冠城幸助と三好政夫がいた。  刑事達は周りで息を潜めながらそっと二人の話を聞いていた。  「よく深夜ここに来るってわかったな。屋上の夜風が好きなんだよなーここなら思いっきりタバコを吸えるよ。ヘビースモーカーだからね先生。 どうしたんだ?政夫、そろそろ家に帰ったらどうだ?ここは血生臭い、人がたくさん殺されているからな。お父さんも心配するだろう?刑事の中にはお前が犯人だとか言う人もいるらしいからな。  こんなところにいると疑われるぞ。どうした?何で黙っているんだ?先生も政夫を匿っているとそろそろバレるかもしれないから。早く帰りなさい」 政夫はゆっくりと振り返って冠城幸助に言った  「先生、先生だったんですね。僕の家をめちゃくちゃにしたのは〜先生だったんですね。先生は〜僕が生まれる前から〜。どうして?僕は先生を尊敬してたんです。それなのにどうして?」 三好政夫は泣きながら冠城幸助にそう言った。  冠城は「何を言ってるんだ?政夫の事はとても大切に思っているよ。だから政夫は今も先生が屋上に来ると思っていたんだろう?」 政夫は言った「いつもおかしいと思っていました。先生は家の前をたまたま通ったと言ってうちに来たり、よく父さんともお酒を飲みましたよね?家に来て。それに勉強も他の生徒よりも先生は僕には熱心に教えてくれた。   お母さんが出て行ったのはお父さんが近藤先生と浮気したからだと思っていました。  でも、違った父は浮気なんてしていない。本当に浮気をしていたのは冠城先生とお母さんそうですよね?それだけじゃない。冠城先生は僕の本当のお父さんだったんですね。  それに〜それだけじゃないですよね?冠城先生は度々うちに来て金目のものを探して持って行った。先生はお母さんを愛してなんかいなかった。 僕の事も愛してなんかいなかった。最初から寄生虫のように僕の家を乗っ取るつもりだった。  違いますか?父の悪い噂を若い時から流したのも冠城先生ですね。いい先生優しい先生だと思っていたのに」   三好政夫の目には大粒の涙がたまっていた。
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