いや、俺

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 そこが一番の問題だった。俺だって言えることならさっさと言ってしまいたい。ずっと心の中でモヤモヤしていたくはない。でも一番の理解者である両親からもし拒絶されたら、それはかなり精神的にくる。怖くて、言い出せない。 「まぁねー。お母さんとお父さんにこのことを話した時、やっぱりすんごいビックリされたよね。お父さんとは喧嘩しちゃったし。『お前は男だ!』って言われちゃって、カッとなったよ。まぁ男なんだけど、体は」  フフッと笑う。どうしてこんなにシリアスな話を軽く話せるのだろうか。俺は唖然として小森を見る。小森は俺の反応に気づいていないようで、段々と落ちていく陽を眺めながら明るい口調で続けた。 「多分、今でも受け入れられてはないと思うよ。多分さ、うちの親は他人がそういう類の人なら受け入れられるんだろうけど、実の息子がその類だと拒絶反応でちゃうんだろうね。まぁ、そういう人は多いよね。やっぱり私のような人間って今でこそ受け入れられるようになってきたけど、まだまだ普通じゃない人間に分類される訳だし。他人事はよくても、自分事は駄目ってやつ?」  またフフッと小森が笑った。でも今回の笑い声は少し悲しさを帯びている。表情も少し悲し気だ。小森は足元に視線を落とした。空が急激に暗くなる。月が輝きを増した。  俺も足元に視線を落とすと、ブランコの鎖をギュッと握った。 「これ、友達の話なんだけど……」  って、言う奴は大体自分の話だよな。きっと小森もそれは分かっているだろう。でも何も言わずに「うん、何?」と優しく言ってくれた。
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