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私の特別な日はそれはそれは痛い日でした。
朝から体中痛くて痛くてご飯ものどを通りません。
痛い痛いと叫ぶとみんなに「そんなことじゃだめ」と怒ります。
それでも叫ばずにはいられなくてもう声の限り叫びました。
我慢強いと言われていましたが、こんなに痛みに弱かったのかと自分でもびっくりです。
何時間も泣きながら身もだえていると、今度はみんなで寄ってたかって押さえつけ「力入れて!」と叫びます。
死に物狂いで力を入れると下半身が吹っ飛んで縦に割れそうなほど痛いのですが、ここで頑張らないとこの痛みがずっと続くと言われてもうわけがわからないままお腹に力を入れました。
そうしてあなたが生まれました。痛みと疲れでぼーっとしながらわたしはあなたを抱きました。小さな、本当に小さなお手手にもっと小さな爪が生えていました。目は閉じていて想像よりも小さな声で泣いていました。
私の特別な一日はそりゃもう痛くて辛くて大変でしたが、とても幸せな日でした。
あれだけ痛かったのに、痛みの記憶は結構曖昧で、あなたを抱いた幸せだけよく覚えています。ひとの記憶って不思議ですね。まあ、痛くないことに越したことはないんですが。
それにしても変わった宿題出すのねえ。あなたの先生。特別な一日を聞いてこいだなんて。
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