12月32日

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「ゆうき……」 「ことね。ちょっと付き合ってもらってもいいかな。きっとみんな寝ちゃってるし」 ことねは僕の言葉に嬉しそうにうなずいた。 からかう友達も、近所のおばさんも今日は眠っている。僕とことねだけの、二人だけの世界だ。 「どこいくの? お店はみんな閉まっているよ」 僕はことねをつれて、高速道路の下まで歩く。 「ここって」 「秘密基地! もう壊されちゃったけどね」 僕らがいない間に、秘密基地は再開発事業によってなくなった。今は新しい公園になっている。 「でもこのあたり、少しおもかげがあるね」 二人で公園のブランコに座って、いろんな話をした。部活のこととか、クラスのこと。好きな食べ物の話もした。あの日みたいだった。 「おなかすいたな。カップラーメンでも食べるか」 「えー!」 「いいじゃん」 「まあ、嫌いじゃないけど」 お店が空いていたら、どこかへ行っただろうし、遊園地や買い物もしたかもしれない。公園で二人、デートだなんてつまらないと思う。
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