3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゆうき……」
「ことね。ちょっと付き合ってもらってもいいかな。きっとみんな寝ちゃってるし」
ことねは僕の言葉に嬉しそうにうなずいた。
からかう友達も、近所のおばさんも今日は眠っている。僕とことねだけの、二人だけの世界だ。
「どこいくの? お店はみんな閉まっているよ」
僕はことねをつれて、高速道路の下まで歩く。
「ここって」
「秘密基地! もう壊されちゃったけどね」
僕らがいない間に、秘密基地は再開発事業によってなくなった。今は新しい公園になっている。
「でもこのあたり、少しおもかげがあるね」
二人で公園のブランコに座って、いろんな話をした。部活のこととか、クラスのこと。好きな食べ物の話もした。あの日みたいだった。
「おなかすいたな。カップラーメンでも食べるか」
「えー!」
「いいじゃん」
「まあ、嫌いじゃないけど」
お店が空いていたら、どこかへ行っただろうし、遊園地や買い物もしたかもしれない。公園で二人、デートだなんてつまらないと思う。
最初のコメントを投稿しよう!