12月32日

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でも今の、12月32日の僕らにはそれで十分だった。 夕日が沈んで、あの日と同じ空になった。町の景色は変わり、僕とことねは大きくなったけど、空の色は変わらない。 「きれい」 「ああ」 「ゆうき、今日はありがとう。楽しかったよ」 「おれも」 「ねえ、どうして私たちだけ12月32日がやってきたのだろうね」 答えはわかっていた。でも恥ずかしくて、うまく言えない。 「いまのためだと思う」 「え?」 「ことねに、想いを伝えるためだって」 「ゆうき……」 「ことね、好きだ」 「うん」 「それはお前が九州へいっても、ずっとかわらない」 「ゆうき、私も好きだよ。ありがとう」
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