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僕らは手を握った。あの時よりもずっと強く。
「大人になったら、絶対会おう」
「うん。約束だね」
「それから、早く携帯を買ってもらってメールする」
「わかった。待ってるね」
だんだんと暗くなってきた。僕はことねを抱きしめると、そのままキスをした。
それから10年近くが経って、僕は大人になった。今でもことねとは連絡を取り合っているし、数年前に会ったりもした。
でもお互い別のパートナーをみつけて、幸せに暮らしている。
あの日以来、12月32日がやってきたことはない。あれからずっと僕が後悔のないように生きられたからだろうか。
それともあの出来事は、一生に一度だけの特別な一日だったからだろうか。
答えは分からないままだけれど、年をまたぐ時期になると僕はことねと見た、あのぐちゃぐちゃの夕焼けの色を思い出す。
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