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「ことね……」
となりの家の幼馴染、犀川ことね。
小学生になってこの町に引っ越してきた女の子。僕と同い年で、男まさりで溌剌とした少女だった。
「ゆうき! 遊ぼう!」
ことねとは隣同士で小学校も一緒だったので、よく家のインターフォンをならして僕を遊びに誘った。
公園だったり、お互いの家だったり、高速道路の橋脚の下に作った秘密基地だったり、いろんな場所で僕らは遊んだ。
そんな僕らの関係がいつの間にか男女何人かのグループになって、やがて男女に分かれていって、ことねとも挨拶くらいしか話さない日々が続いた。
「ことねちゃんってさ、ゆうきくんと家が隣同士なんでしょ?」
「あ、うん。そうだよ」
「どうなの?」
「えー! なにもないって!」
女子のグループがことねを囲んで、そんな話をしているのを聞いた。僕は恥ずかしくも、鬱陶しくもなり、ことねも避けるようになった。
ことねも同じように僕のことをさけていたのかもしれない。
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