12月32日

5/13
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「ことね……」 となりの家の幼馴染、犀川ことね。 小学生になってこの町に引っ越してきた女の子。僕と同い年で、男まさりで溌剌とした少女だった。 「ゆうき! 遊ぼう!」 ことねとは隣同士で小学校も一緒だったので、よく家のインターフォンをならして僕を遊びに誘った。 公園だったり、お互いの家だったり、高速道路の橋脚の下に作った秘密基地だったり、いろんな場所で僕らは遊んだ。 そんな僕らの関係がいつの間にか男女何人かのグループになって、やがて男女に分かれていって、ことねとも挨拶くらいしか話さない日々が続いた。 「ことねちゃんってさ、ゆうきくんと家が隣同士なんでしょ?」 「あ、うん。そうだよ」 「どうなの?」 「えー! なにもないって!」 女子のグループがことねを囲んで、そんな話をしているのを聞いた。僕は恥ずかしくも、鬱陶しくもなり、ことねも避けるようになった。 ことねも同じように僕のことをさけていたのかもしれない。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!