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「ゆうきも怖いんじゃん」
「そんなことねーし」
また強がってしまった。男勝りなことねのこんな姿をみたのは初めてだったから、どうしていいか分からなかった。
「こういうときは、なんかほかの話をするんだ」
「ほかのはなし?」
「うん。例えば、すきな給食とか」
「えー……」
「おれはカレー。ことねは?」
「……ビーフシチューかな」
「バナナは?」
「あんますきじゃない」
「なんで?」
「なんでって。甘いし」
そんな話をしていたら、夕立も雷もどこかへ行ってしまっていた。
「ほら、雨やんだだろ」
「ほんとだ。いつの間に」
ことねとふたりで秘密基地から空を見上げると、高速道路の向こう側に透き通った夏の夕焼けが見えた。
白や紫やオレンジがぐちゃぐちゃに混ざりあい、それでも不思議ときれいに見える。
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