12月32日

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「ゆうきも怖いんじゃん」 「そんなことねーし」 また強がってしまった。男勝りなことねのこんな姿をみたのは初めてだったから、どうしていいか分からなかった。 「こういうときは、なんかほかの話をするんだ」 「ほかのはなし?」 「うん。例えば、すきな給食とか」 「えー……」 「おれはカレー。ことねは?」 「……ビーフシチューかな」 「バナナは?」 「あんますきじゃない」 「なんで?」 「なんでって。甘いし」 そんな話をしていたら、夕立も雷もどこかへ行ってしまっていた。 「ほら、雨やんだだろ」 「ほんとだ。いつの間に」 ことねとふたりで秘密基地から空を見上げると、高速道路の向こう側に透き通った夏の夕焼けが見えた。 白や紫やオレンジがぐちゃぐちゃに混ざりあい、それでも不思議ときれいに見える。
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