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「ゆうき、ありがとう」
「いいよ、これくらい」
「なんか、見直した」
「うるせーよ」
僕らはさっきからずっと手を握り続けていたことに気づいた。
気まずくなって手を離そうとすると、ことねが
「今日はずっとこうしていたい」
と離すのを拒んだ。
「……仕方ねーな」
口ではそういったが、僕は少し赤くなっていた。
そのまま僕らは雨上がりのアスファルトの上を、手を握りながら歩いた。
その日からずっと、僕はことねを意識していた。ことねもそうだったらいいなと、思った。
けれども、これから先もずっと一緒にいるんだし、想いなんてまだ打ち明けなくてもいいかなとも思った。
だけどこんなにも早く、別れが来るだなんて。
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