好きでも、嫌いでも

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 真くんは葉っぱから顔を上げると、さっきと同じイタズラそうな笑顔を見せた。 「咲希ちゃんだけに、僕の取って置きの秘密を教えてあげる」  また下を向いた真くんの横顔は、少し赤らんでいるように見えた。 「僕はね、陽輝のことが好きだった。友だちとして以上に、もっとずっと。一緒にいたいとか、キスしたいとか、抱きしめたいとか、そういう好き」  その事実になんと反応していいのか分からず、言葉が出なかった。 「気持ち悪い? 変? 普通じゃないと思う?」  首をブンブン横に振って否定する。そんなことは思わない。だってその言葉を聞く前も後も、真くんは真くん、同じ人だ。幼なじみで、お兄ちゃんみたいに優しい人。 「誰にもならなくていい、咲希ちゃんは咲希ちゃんのままで」  そう言って立ち上がった真くんの手には、四つ葉のクローバーがあった。 「はい、コレあげる。シロツメクサが嫌いでも好きでも構わない。咲希ちゃんの心は咲希ちゃんだけのもの。こうして記憶を上書きをして変えてもいいし、嫌いなままでも大丈夫」  差し出された四つ葉のクローバーを受け取った。上書きするならば… 「花冠、編んでみたい…」 「うん、いいね」  真くんに教えてもらいながら、一本一本丁寧に編んだ。
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