4. 勇気をだして

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 川沿いの土手で立ち尽くし、いつのまにか通り雨は本降りの雨に変わって、週間予報はしばらく雨マーク。  雨音に混じって、スマホが軽快な音を鳴らした。 【菜花】 裕君に告白できた! なんと、なんと、うまくいったよ~ 信じられない! ハルちゃんありがとう!!  歪んで表示されたメッセージは読みづらい。画面に落ちた水滴は、なかなか止まない雨のせいだ。  私はとびきり笑顔のスタンプを押して、スマホを鞄に仕舞った。  まだ雨は降り注ぐけれど、私はそのうち元通りに、完璧な私に戻れる。  ……でも今はもう少し、この雨の下で濡れていたい。根腐れしそうな私の花に、君が気づいて傘を差してくれたらいいのに。  川は、雨粒の波紋で一面埋め尽くされている。  私は辺りを見回し、誰もいないことを確認してから、すうと息を吸い込んだ。 「菜花の莫迦――!」  土手の鳥が飛び立つ。 「ちょっとは気づけ――! この鈍感――!」  喉が焼ける。  涙が止まらない。  でも、心はどんどん軽くなる。 「好きだ――――!」  今日は初恋が終わった日。  そして恋の花を咲かせたばかりの君を見守る、親友としての一日目。  大丈夫、私はきっと、大丈夫になれる。だけど諦めるつもりはない。たった一度の失恋くらい、積み重ねた「好き」と比べたら雨粒より小さいんだから。  今度は、私が変わる番。いつか自信を持って、君に想いを伝えられるように。  I will be right as rain.  空に晴れ間がのぞき、河面にきらきらと反射した。  これだから、天気予報は当てにならない。 了
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