修道女が恋を夢見てもいいでしょう?

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 詩人に、学者に、楽士にときめいてきゃあきゃあ言いながら、彼らの作品に触れていたのだろう。  納得はしたが、どこかでがっかりもしながら、カティアと同じようにじっと彼女を見つめ返す。 「ありません。わたくしが夢見るのは、姫さまが修道誓願をして女子修道院長となって、静謐な一生を送ることです」 「でも、それじゃあだめなのよ、ジル。だってわたしはここで、最愛の恋人とともにこれからの人生を歩んでいくのだから」 「はあっ!?」  ジルの声は裏返った。  まさか、と思った。  よりにもよって女子修道院で最愛の恋人と同棲、または結婚などということがあるだろうか。  実はこう見えてカティアは男よりも女好きだった、言い交わした修道女がいた、という気配もまるで感じたことはない。  とんでもないことを宣言したばかりとはまるで信じられないおだやかさで、カティアは諭してくる。 「だからジルも、恋しなくちゃだめよ」 「何をおっしゃっているのか、全然話がわかりません! なんなんですかいったい!?」  すると、カティアは愛嬌たっぷりに微笑んだ。 「少なくとも、わたしを殺すことはやめてちょうだい?」
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