危ない不動産屋

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危ない不動産屋

二十代半ばの冬。 一人暮らしを始めようと朝から部屋探し。 いくつかの不動産屋を回ったが、どれも決め手に欠ける。 空も暗くなりかけ、そろそろ帰ろうとした時、目に付いた某不動産屋の看板。 それはまるでスラム街にありそうな古くボロボロな木造の建物。 地下鉄駅から徒歩数分という立地にも拘らず、今にも崩れそうなその外観。 いくつものテナントが入っているようだが、直感が明らかにダメだと訴える。 しかし、怖いもの見たさの好奇心が勝ったのが運の尽き。 床も壁も抜けそうなその建物の階段を慎重に上るも、不安MAX。 (やはり止めておくべきだ、帰ろう。) 引き返そうとしたその時、ボロボロのドアが開いた。 「いらっしゃいませ、お部屋お探しですか?どうぞ中へ」 逃げるタイミングを失った。
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