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私の視線に気がついたのだろう。
その人は、さも面白くて仕方がない、とでも言うように声を立てて笑った。
「ああ、これ? このマントは父親の形見なんだ。自分のものじゃないよ」
では、守人の父親が騎士だったということか。
しかし私は、今まで砂漠に騎士が派遣されたという話しは聞いたことがない。
「失礼ですが、なぜあなたはわたし達の居場所がわかったのですか?」
その時、イリナが守人にもっともな問いかけをした。
言われてみれば、その通りだ。
けれど、守人は複雑な表情を浮かべる。
「うーん、それはちょっと難題だなあ。……こんな所じゃ何だから、家でゆっくり説明するよ」
それに、そっちの魔道士さんはそれが目的なんだろう?
そう言って守人は屈託なく笑う。
その裏表のない様子にすっかり毒気を抜かれた私達は、思わず顔を見合わせた。
「じゃあ、決まりだね。視界が悪いから、はぐれないよう気をつけて」
言うが早いが、守人は先に立って歩き出す。
やっとのことで見えた希望の光だ。
その申し出を喜びこそすれ、断る理由はない。
私達はあわててそのあとを追った。
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