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私はふとそんな事を思った。
「守人殿は、その知識をお父上から学ばれたのですか?」
首をかしげるイリナに、守人はぽんと手を叩いた。
「ああ、そう言えばまだ名乗っていなかったっけ。自分はカルマ・ヴァーン。産まれは赤の都なんだけどね」
曰く、父親は元々赤頭公配下の騎士だったそうだ。
だが演習で脚をやられ前線に出られなくなり、退役。
その後まだ子どもだったカルマを連れて、先祖伝来の地であるこの砂漠のオアシスへとやってきたのだという。
そこで私達も、各々の名前と身分、そしてなぜこのような状況になったのかをかいつまんで守人……カルマに告げた。
「都じゃ、まだそんなくだらないことをやっているのか。通りで砂漠が怒るはずだ」
「砂漠が怒る?」
耳慣れぬ言い回しに、私はオウム返しに言う。
と、カルマは小さくため息をもらす。
「うん。同居人の受け売りだけどね。この嵐は砂漠の怒りだって」
どうやらカルマは一人でオアシスに住んでいる訳では無いらしい。
しかし、父親は他界しているようだが、一体……。
「実は、君たちのことは同居人が教えてくれたんだ。不用意に砂漠に踏み込んで、怒りに触れた人がいるって」
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