Ⅳ.守人

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「では、この嵐はわたしたちが呼んだ、ということなのでしょうか?」  イリナの問いかけに、カルマはわずかに肩をすくめて見せた。 「自分にはよくわからない。でも、世の中には不思議なことが多いからね」 「けれど、この嵐がなければ私達はあなたに見つけ出してもらえなかった。砂漠の中を彷徨って、そのまま干からびて死んでいただろうな」  そう、確かにあの時私は死を覚悟した。  だから、せめて巻き込まれたイリナだけは助けたいと思ったのだ。  けれど、そんな私の顔をまじまじと見ていたカルマは、なぜか急に笑い始めた。  理由がわからず、わずかに眉根を寄せる私に守人は言った。 「ごめんごめん。でも公子様は大丈夫。だってまだ死相が見えていないもの」 「死相?」  思わず私は首をかしげる。  カルマは私が今まで接したことのない類の人種のようだ。  その言葉にどのように反応したら良いのか、いまいちよくわからない。  黙り込む私に、イリナが助け舟を出してくれた。 「戦場を渡り歩いていると、自分が生きて戻れるか否かわかるときがある、と先達から聞いたことがあります。それと似たようなものですね」
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