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重たい身体。
じっとりと汗をかいて目を覚ました。視界に広がる部屋に見覚えがなく暫く思い出そうとじっと考えていると、腰に回された腕に力が入った。背後から抱き締められている。
そうだ、私昨日…!
「…もも」
背後からぎゅうっと抱き締められて、首筋にちゅっとキスを落とされる。匂いを嗅ぐように髪に高い鼻を埋めてカイさんが掠れた声で名前を呼ぶ。
このシチュエーションは! どんな状況!? いや分かってるけど!
「身体は大丈夫か?」
「は、はい、だだ大丈夫です…」
「もも?どうした」
くつくつと笑いながらカイさんはゆっくりと私の髪をかき分け、また首にキスをする。
「い、いやなんか、え…っと」
「恥ずかしい?」
「そうですネ?」
「なんだ、昨日はももから一緒に泊まろうって言ったのに」
「そうなんですけど!」
必死だったって言うかね!?
「しかもあんなヤラシイ下着姿で俺を煽ったのに?」
「あっ、あれはだって、カイさんが着てって言うから!」
「うん、嬉しかった」
そう言って肩にチュッとキスを落としてフフッと笑うカイさんの息が素肌を掠める。
何この甘さ! どうしよう、カイさんてこんな人だった!? くすぐったくてドキドキする…!!
「…ごめんな、初めてだったのにがっついた。本当はもっとゆっくり進めるべきだった」
「そ、そんなこと…わ、私がそうしたかったから…」
「ん。そうなら嬉しい」
カイさんの腕が腰から離れて、くるんと身体を返される。見上げるとカイさんが覆いかぶさってきて、チュッとキスを落とされた。ちゅ、ちゅっと顔中にキスが降ってきて、そのくすぐったさに思わず笑う。
「今日は大学は?」
「ふふっ、もうほとんど講義はないんです。卒業制作だけ」
「バイトは休みだな」
「はい。よく知ってますね?」
「今日はゆっくりできるな」
「そうですね…え、あっ」
バサッとシーツが捲られて素肌がひんやりと空気に触れる。
昨日と違い一糸纏わぬカイさんのきれいな筋肉が視界に飛び込んできて、すぐに私と重なった。肌と肌が触れ合う心地よさに震える。
「もも」
唇を合わせて柔らかく名前を呼ばれる。私を見つめるその視線。
こんなの、抗えるはずがない。
真っ白なシーツの海に、私の身体はまた、沈んでいった。
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