優秀なる問題児

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「実はですね…」 身振り手振りのオーバーアクションと、随所に擬音語を交え。 全く要領得ぬ話し振りであった。 彼の話を要約すれば… ・一般クラス高等部三年生の一人が、Sクラス編入を希望。 ・成績はSクラス入りしても、問題は無い。 ・編入させてくれない事を、教育委員会へ訴えると言っている。 ・行政が入って来ると面倒事となるので、どうすべきか。 「彼の案件は、我々で検討致しましょう。 決定次第通達致しますので、お引き取りを」 要は右手で出口を示し、話しを終わらせた。 その行動に、教師は憮然とした顔で見返す。 (俺抜きで、ガキが解決させるってのか? 馬鹿にするのも、大概にしろっ) 「他に何か?」 不満の余り睨んでくる相手を、要は一瞥した。 「ひっ!?」 「貴方が居ても、解決は見られない。 故に、お引き取りをと、申し上げています」 言葉こそ丁寧だが、絶対零度のオーラを纏う要に… 「あ、ああ…」 教師は怯えきってしまい、震えるばかりであった。 「大の男が情けない。 ほら、ちゃんと立ちなさいよ?」 渉が呆れた顔で相手の腕を掴み、引き上げた。 「はわっ!?」 「立ったね。お帰りは、あちら」 笑顔だが、目が笑っていない。 「す、すみません、でしたっ!」 その様子に慌てて頭を下げ、逃げる様に退室して行った。 暫しの間を置き…要は口を開く。 「どう感じた?」
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