お祝いはダブルで! ~ 要目線 ~

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「「誕生日、おめでとう!」」 「卒業、おめでとうございます!」 夕食の席では祝いの言葉が飛び交っていた。 今日は俺達の高校卒業だけでなく、ミィの誕生日でもあった。 揉みくちゃにされたが母親集団からも色々、プレゼントを貰ったそうで。 今、着ているフワフワの生地の、ワンピース(ウチの母)。 (口紅はまだ早い、と言う事で)色つきのリップクリーム(晃母)。 可愛らしいデザインのイヤリング(匡母)。 これらは部屋で、身に付けて貰う取り決めとなった。 可愛くて、よく似合っている。 毎日の癒やしになって非常に良いぞ。 もう一枚、フリル一杯の可愛らしいワンピース(豊母)。 これは明日、着て貰おう。 女性が選んだだけあって、チョイスが良い。 …酷い目に合いはしたが、可愛がられているに違いはない、から… 今日の事はヨシとしてやる…しか、ない、のか? …抗議は不可能だから、仕方無い、か… 俺は勝算の無い戦いはしない主義だからな。 あの集団に抗議しに行くなど… 猛獣の檻(豊の母親以外、虎と狼だから)へ、素っ裸の丸腰で入るに等しい。 …いかん、気が逸れてしまった… 兎に角、今日は祝いが二つと言う、目出度い日なのだ… ミィから貰った祝いの品は、手編みのペンケース。 女の子らしい、繊細さを感じる。 気持ちが籠もっているのが嬉しくて、使うのが勿体なく思う程だ。 「ありがとう。嬉しいよ」 礼を言えば、はにかんだ笑みを浮かべ頬を赤らめて。 …そんなふうにされると… 可愛くて、愛おしくて。 衝動的に加減出来ないまま、抱き締めたくなる。 華奢な身体を壊してしまいそうで、それは出来やしないが… 我慢するのが大変なのだから… そんな可愛い顔をするのは、勘弁してくれないか? この場は他大勢が居るお陰で、何とか気を紛らわせる事が出来… 気持ちを静められた。 奴(司)を横目で見たが、どうやら俺と同じらしい…
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