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…気付いたのは、要の肩の上だった…
今まで聞いたコトもねぇ、奴の声が聞こえてくっからさ
「俺の喧嘩相手は、お前だけなんだぞ?」
言葉の直後、奴のエネルギーが注がれて…
「精々、感謝しろ。
加勢してやる」
恩着せがましいのは、口だけ。
声は泣いてるし。
…コイツが泣くなんて、ミィのコト以外ねぇ、って…
そう、思ってたんだが。
まあ、な…ちっと前、コイツが命を掛けかけた時。
俺も泣いちまったもんな。
…悪かったよ、俺自身が諦めちまってさ…
もう、しねぇよ。
足掻きまくって、生き抜いてやんぜ。
そう、思い至ったら。
寝たフリなんて出来ねぇから。
わ~ったよ、って合図のつもりで。
奴の背をポンポン、って叩いてやったさ。
その直後…
奴は俺をポイッ、と脇へ放り投げやがった。
「起きたのなら、歩け。
俺は野郎を喜んで抱える趣味など無い」
何時も通りにべもなく言い放ち、先に進んでいく。
こぉの、ツンデレっ。
「アンタのエナジー、ゴチでした」
容赦無く帰って行く背中へ。
俺は冗談めかして手を合わせた。
「借りは返せよ。…60年後にな」
「利息付けて、返してやんよ」
前向きで居るってコトを、婉曲に口にして。
…それはしっかりと伝わったみてぇで…
要は何時もの意地悪な笑顔で振り返った。
「言質はとったからな」
「曲者爺になって、お前を困らせまくってやんよ」
きっと…今の俺のツラも。
鏡に写したみてぇにさ。
意地の悪ぃ笑顔をしてんだぜ、きっと。
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