優秀なる問題児

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一般棟の高等部では、教師達が頭を抱えていた。 「もう、手に負えん…」 「致し方無い、学園長に相談するしか無い…」 漸く意見が纏まったらしく。 代表となった一人が、学園長室へ向かって行った… ドアをノックすると、中から要の良く通る声が聞こえる。 「どうぞ」 入室し要の顔を見るなり、教師は顔をしかめた。 「お掛け下さい」 表情で相手の意図を読み取るも… 要はすました顔でソファーを示す。 (幾ら優秀とは言え、コイツはガキだ。 学園長は孫可愛さに、目がくらんだか? どうやら、モウロクしたらしい) ソファーに座り、要の顔を見つつ思案。 その為、全く話していない事に気付かず… 沈黙が室内を包んでいた。 要は暫し静観した後… 祖父への直通電話の受話器を取り、口を開いた。 「異論あらば、学園長当人へどうぞ」 「ひっ!?」 思考を読まれたと知り、教師は恐怖の表情となり固まった。 「無駄な時間は、掛けさせないで頂けるかな?」 怯えた上に、更に追い打ちを掛けるが如く。 渉は不意に動いて声を掛け。 相手の右側…出口側へ位置するソファーへ座った。 そうされた事で、退路を断たれた気持ちになり。 すっかり怯えてしまったのである。 蒼白な顔で唯々、震える教師へ要は威圧を掛けた。 「早く本題に入って頂けますか? 私は執務に追われておりましてね。 不慣れ故、手間取る事が多いのです」 威圧を掛けられつつ、『早く話せ』と急かされ。 教師は泣きながら話し始めた…
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