優秀なる問題児

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(俺の判断を、二人は命懸けで…) 要は拳を握り、小さく息を吐き出す。 …その様子を見て、真澄は動き… 要の傍へ立ち、両手で拳を包み込んだ。 「…ミィ?」 不意に取った動きに、要は目を見張り彼女を見詰めた。 …コバルトブルーの瞳を見詰め返し、真澄は微笑む… 「要さんの判断は、何時も“善”です。 だって、“完全無欠の魔王様”ですから」 その言葉を受け、要は笑顔を返した。 「その期待に、応えよう」 …二人を離れた位置から見守る司の胸は… 痛みと温かさを伴っていた。 (ミィが傍で支えてくれてっから、要は孤独にならねぇ。 もしも俺が倒れちまっても。 我が一族の将来は、安泰だぜ…) 司は安堵の息を吐いた後、意地悪く笑い声を掛けた。 「おい。俺はお前の“有事の代理”だぜ? 責任ぐれぇ、折半させやがれ。 つう訳で、俺に仕事寄越せや」 片割れの申し入れに、要は目を伏せ沈黙した。 (…そうやって、お前は真っ先に渦中へ飛び込むのだろう? ミィの為、一族の為、自身を犠牲にして…) 「…検討する…」 慎重な要に司は舌打ちをする。 ソファーから立ち上がって歩み寄り、机越しに目の前へ。 「てめ、らしくねぇぜ。 スカッと一発、丸投げてくんねぇか?」 「一族皆の命運を担う立場故、安易な答えは出せない」 挑発的な態度を向けられるも、要は乗らず。 慎重な答えを返すのみで…
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