優秀なる問題児

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(クソ、挑発にも乗らねぇか… この冷静沈着さと、忍耐強さ。 まさしく“氷の如く”だぜ。 確かに、コイツの方が“次期当主”に相応しいと思う。 だからこそ、動くのはコイツじゃねぇ) 「“当主代行”となった身の、お前がだぜ。 ホイホイ動く訳にゃいかねぇだろ? この中で、俺が適任だろうが」 「「然り」」 司の話に渉と剛が同意の言葉を投げた。 二人の父親の言葉に、要は唇を噛み目を伏せる。 (『私情を挟むな』と? 全ての判断は“一族の為“故に、か。 二人はコレを、俺が生まれる前より執り行って来たのだ) 「…お二人の言が“最善”でしょう…」 要は目を上げ、司を見据えた。 「司、俺が動く必要がある時は、お前が“代行”として動け。 その際の言動は、俺が下した事と同等とする」 「お受けしよう」 司は右手を心臓に当て、一礼。 顔を上げると、心からの笑顔を片割れへ向けた。 「お前の判断は“何時も善”だ。 さて、兄貴。先ずは何すんのさ?」 「“奴”の選考試験を明日、執り行う故。 立ち会いし、見届けろ」 「了解」 (この子は聡過ぎるが故に… 己が成すべき事を即座に識り、行動してしまう) (成獣したとは言え、学生時代位… 遊ばせてやりたかったんだがなぁ) 双子を見守る父親達は、己が血を受け継ぐ息子達を。 痛ましげに見守っていた…
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