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…翌日…
Sクラス棟高等部の体育館を貸し切り。
例の生徒の“編入試験”が行われた…
「英語じゃあなくって、“選択外国語”なんすね。
こんなの、日本国内の高校で見ないよなぁ~。
ま、だから俺は、ここに来たんすけどね?」
生徒…歳桃慎吾は笑顔で言い。
選択外国語を“ドイツ語”と、した。
「ほぅ、ドイツ語が出来るのか。他には?」
「英語と中国語っすね。
後は日本語と北海道弁を入れて、五カ国語さぁ」
剛の問いに、歳桃は得意げな笑顔で答えた。
(へぇ…丸一日試験なのに、笑ってるってか。
コイツ、とんでもねぇ肝っ玉だぜ)
司は口を挟まず、只、静観し観察に徹底していた。
筆記試験三教科が終わり、昼休みとなった。
予め用意された三人分の弁当を司が配り。
それぞれの席について食事をする。
「コレ、手が込んでますね~」
歳桃は美味しそうに食べ、弁当のおかずを褒める。
「俺と要が作った」
(後、ミィも手伝ってくれたが、ソコは敢えて言わねぇ。
『その方が良い』と、勘が言ってっからなぁ)
「へぇぇ~っ!?すっげぇ!
先輩達って、何でも出来るんすねぇ」
素っ気なく応えた司の言葉に、歳桃は驚きの声を上げた。
(人事、か…自炊はSクラスで必須だと。
受験する前に通達しておいた筈なんだがなぁ)
剛は敢えて口を挟まず、二人の遣り取りを静観していた…
昼食後、身体能力試験の為、三人は用意された戦闘着に着替え…
「えぇ!?殴り合いっすか!?」
試験内容の説明を受けるなり、歳桃は驚きの声を上げた。
「事前に説明しただろうが。
んじゃ、始めるぞ」
呆れた顔の剛に、歳桃は懸命に言い訳を始めた。
「いやいや!?ちょっと、待って!
俺、殴り合いなんて、今までやった事、ねぇし!?
聞いてねぇからっ!」
「んじゃ、“試験中止”だな?」
「それも…ちょっと…」
剛の言葉に、歳桃は曖昧な言葉を返す。
「“文武両道”の我が学園の中でも。
Sクラスは、その最高峰を行くのさ。
故に国内外の政府要人警護や、様々な分野の職に就いている。
“格闘技”は、Sクラスの必須だぜ?
出来ねぇ生徒なんて、一人も居やしねぇ」
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