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卒業証書授与式は、笑いの中、賑やかに終わっちまった。
でも、誰も「ふざけてる」なんて怒る奴はいねぇ。
…一月の事があったからだろうな…
それを払拭してぇから、笑って終われる事をヨシとしたんだろうぜ。
式が終わり、両親との“お話タイム”が設けられてんだが…
オヤジは俺達に「おめでとう」とか、「大学に入っても頑張れ」とか。
俺達は“大学卒業するまで家に帰らねぇ”と、断言してっから。
親に会えるのは、この時だけな訳だし。
だから、さ…
「か~さん、話しすんのは、コッチじゃねぇの?」
ミィを腕に抱え込んで、ベッタリしてるオバ…もとい、奥様。
それが、ウチの母親だ。
オヤジも図体デケぇが、母親もデケぇ。
暁学園の対になる、女子校である“桜学園”を。
大学卒業するまで、頂点に君臨したヒトだから…
人呼んで、“桜の女帝”。
本人の前では絶対禁句なんだよなぁ。
でも、後でミィにコッソリ教えてやろっと。
独り占めしてた仕返しだっ。
で…その“元女帝”さんは…
「可愛い♪、可愛い♪」
ってガッシリ腕に抱え込んで、スリスリしまくってる。
「…何だか母さんが、あの子を舌でザリザリして。
喉をゴロゴロ言わせて見えるんだが…
それは、俺の幻覚だよな?」
「父さんが、そう見たのなら…
きっと、正しいと思う…」
オヤジが要に真顔で言い、要も真顔で肯定してた。
んで…ウチの母親ってば…
何か斜め上過ぎる褒め方してるし…
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