吹奏楽やらない?!/con anima

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吹奏楽やらない?!/con anima

「………」 「あ、急にごめんなさい!ちゃんと説明するね。吹奏楽ってコンクールに出場したりするんだけど、僕達が出場する枠組みは50人が上限って決められてるんだ。今のメンバーで出れない事は無いんだけど、メンバーが足りない楽器のパートがあって、良い演奏を目指すには一人でも多くのメンバーが必要なんだ…。」 「そういえば吹奏楽部員ってどこの学校でもたくさんいるね。」 「うん。オーケストラと同じでたくさんの演奏者が必要なんだ。しかも、僕らの地区って吹奏楽の強豪校が多くて盛んだから、ほとんどの学校が50人フルで出場するんだ。だから、今のままだと…ちょっとね。」 「それは…何と言うか厳しいね。」 「そう。だから何とかしなきゃって、部員みんなで色々な人に声をかけようって事になったんだ。そうしたら昨日、部員の子から須賀くんの事を聞いたんだ。」 「僕の事?」 「うん。青田 翔子(あおた しょうこ)さんって覚えてる?須賀くんと同じ小学校の同級生。その子から須賀くんの事を聞いたんだ。小学校の時、一緒にクラブ活動で楽器を吹いていた子が僕と同じクラスにいるって!」 「あ……。」 (思い出した!確かにそんな時期があった。小学校4年生の頃だったような...。長続きしなくて辞めちゃった苦い記憶だけど。) 「思い出した?青田さんから聞いたんだけど、須賀くんってトロンボーン吹けるんだよね?!」 「いや、吹けるというか、音が出せた程度だよ。それにすぐ辞めちゃったし...。」 (青田さん、話し盛ってる。相変わらずのキャラだな。) 「音が出せるなら十分だよ!うちの部には初めて音を出す人もいるんだよ。それに、須賀くん手足が長いから似合うと思うな。」 「………」 「だからねっ、一緒に吹奏楽やらない?!」 ……悩む隙がなかった。 圭くんの笑顔と素直さに、僕の心の中の何かが共鳴したような気がした。 (このまま毎日をやり過ごすくらいなら。それに...。) 帰り道、 僕はさっきまでの出来事を頭の中に映しながら、少しだけ唇をほころばせていた。
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