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恵理子
「うわぁ、これエビフライ?でかっ!」
揚げたてを大皿に盛りつけ食卓に並べると健太は大袈裟に驚いて見せた。
「そう思うでしょ?」
「うん、そうなんだけど。俺……」
私は言い淀む健太を手のひらを向けて制して、
「大丈夫!これ、エビじゃないから」
エノキを茹でて刻み、お湯で戻した湯葉に包む。
あとは小麦粉を少量加えた卵に浸し、パン粉をまぶしたらエビフライと同じように揚げるだけ。
そう教えると健太は、
「え、俺でも食べられるの?」
無邪気に喜んでいる。
昨日、健太から甲殻類アレルギーだと聞かされた時には驚いたけど、趣味で通っている創作料理教室で鍛えた腕前で、エビを使わないエビフライを創作。
どれから食べよっかなぁ、なんて心を躍らせている健太の後ろ姿に向かって話しかける。
「十年間ありがとう。これからもよろしくね!」
了
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