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私は高柳恵里。私は冬に人の体を温める毛布になりたいと子供の頃から思っていた。殺伐とした世の中で毛布に救いを求める人は後を絶たなかった。そういう人達を癒してあげたいと毛布になりたいと思う人が激増している。
近年設立された日本毛布学校に私は入学した。ここでは一定の成績を収めると毛布になることができた。
授業は座学の毛布基礎理論と物体構造学、実技の毛布変化術で構成されていた。毛布基礎理論とはなぜ毛布は人に癒しを与えるのか、毛布の人体に及ぼす可能性とは何かと追求する学問だった。物体構造学では毛布の素材から弾力性、保温性、耐久性を学ぶ。
そして最も重要な毛布変化術は坐禅を組んで頭の中に明確になりたい毛布を想像することだった。どれだけ座学が優れていても、実技がうまくできずに卒業できない生徒は多かった。
私は四年間で毛布について学び、変化術を覚えて、卒業することができた。そしてそれは私が毛布に変化したことを意味している。やったね。
デパートの寝具売り場で私を買ってくれる人を待っていた。どんな人が買ってくれるかな。私は役に立てるかな。
期待と不安でずっとドキドキしていた。そんな時に一人のスーツを着た女性が前を通りかかった。弾力性や触り心地を調べるために私を上から柔らかく押している。ぎゅ。さわさわ。
女性が店員さんを呼んで、私を買ってくれることになった。私はこの人を温めて癒せたらいいなあと思った。私は一人で運ぶには大きなサイズなので配送されることになった。大きくてごめんなさい。
女性が用紙に配送先の名前と住所を書いていた。女性の名前は佐藤京子さんだった。かわいい名前だな。
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