白い壁

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一年前にバスの中で刺されたのはその時の男の子だった。 でも、この女性との関係は……? ああ、話しているうちに、どこかで見たことがあると思えてきていたが、知り合いではないような気がして、全く忘れていたが…… 間違いない。この顔、この声。 そして何より、この女性の表情。 マスコミの前でテレビに訴えていた人だ。切りつけた犯人が憎いと言って。 そうだ、その子の母親だ! でも、待てよ。僕は何も関係ないじゃないか。そもそも、隣に座っていた青年が犯人ではなかったじゃないか。まさか僕が挑発したと勘違いしてるんじゃ? あらぬ疑いをかけられ、僕はここに長居したことを後悔した。しかし、窓もドアもないこの部屋から脱け出すには何もなす術がなく、だからといってこのままここにいる訳にはいかない。目は泳ぎながらも糸口を探すのに必死になった。
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