白い壁

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目を覚ますと、僕は知らない部屋に横たわっていた。薄暗く仄かな明かりで照らされており、何処かのホテルの一室のようだ。だが、やけに妙な感じがする。 だんだんと目も慣れてくると、暗くても部屋の様子が見えてくる。視界に入ってきたものは、辺り一面が真っ白の壁に囲まれていた。 おそるおそる僕はもう一度部屋を見渡してみた。どうもひっかかる。まだ寝ぼけているのだろうか。 しかし、例えこれが夢でも現実でも、一刻も早くこの場所から出なければならない。なぜかそんな思いに心は急かされていた。 やはり何かがおかしい。 「あれ?」 頭が冴えてきた。それと同時に、この部屋の違和感が何だったのかわかった気がした。どこにでもあるものが、ここにはないのだ。 それが何なのか、すぐにはわからなかった。だが、僕はこの部屋に一体どうやって入ってきたのだろうか。全く記憶がない。そう感じた瞬間、スゥーッと背中に冷たい水のようなものが走った気がした。 よく見れば、誰でもすぐにその違和感に気付くことになる。この部屋にはドアがない。おまけに、窓が一つもないのだ。一体ここは何処なんだ。 この白い空間に、僕は小さな不安と緊張を抱き始めていた。
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