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第一章 《小さな竜》
遥かな昔。 この空には美しい竜が居たという―――。
風のように、自由に空を舞う竜達はその頃。 空の支配者であった。
そして、人々の守り神でもあり。
人は竜に、尊敬と深い敬愛(けいあい)を抱き。
竜もまた、地に生きる人々の事を好いていた。
自分達に比べ、人の命はとても短い。
だがそれゆえに、一日一日を懸命に生きるその姿を竜達はとても好み。
空から―――。
時には、人の姿を写し。 同じく地に足を付けて、見守っていた。
竜達は、人里離れた山の中腹に美しき『竜の都』を築き。 竜達の長たる『竜王』の元で暮らしていたが。
そんな平穏な時も、長くは続かなかった―――・・・。
ある日人々は、竜逹から大いなる空を奪い取るべく。 手に武器を携えて竜の都へと襲いかかり。
人間の数千倍もの力を持つ竜と。 竜の数千倍もの数のある人間逹との戦いは、長く長く続いた・・・。
そして、多くの竜と。 人間の命が失われ。
果て無き戦いの末に、ついに『竜の都』は滅び去り。
この世界から、竜は姿を消してしまったという・・・。
『竜の都の物語』
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