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「桜堂くんって、話上手なんだよ!聞きやすい話し方だし、内容も面白いの。」
「紫乃も、話が面白いよ。紫乃は、恋の話とか、オシャレの話とかが好きなんだね。僕も、ファッション雑誌『ローズタイム』はよく読んでいるよ。」
「本当?ローズタイムは、最新のオシャレ情報が載っていて、素敵だよね!モデルのみんなも可愛いし。」
「僕もそう思った。身だしなみに気を使う人って、良いよね。きっと、そういう人は性格も気遣いのできる素敵な人なんだと思うよ。紫乃みたいな。」
「えっ私はそんな……。私より、桜堂くんがそういうタイプなんだよ〜。」
「ありがとう。紫乃もそのタイプだよ〜。」
二人は楽しそう。
桜堂くん、身だしなみに気を使う人が好きなのかな……。
だとしたら、紫乃なんてピッタリじゃん。
オシャレで、几帳面で、しっかり者で、優しくて。
私とは正反対の、良い子。
私は悲しくなった。
どうして、悲しいんだろう。
別に、紫乃と私は関係無いし。
桜堂くんに好かれようとも思っていないし。
頭の中で否定して、私は自分の席に座った。
しばらく経って、委員会活動が始まった。
私は、図書委員。
図書室の整理をするだけ。
静かに一人で作業できるから、私に合っている。
図書委員会は、わずか八人。
委員長になった紫乃と、副委員長になった桜堂くんは、ますます仲良くなった。
「ちわーす!なあなあ神宮寺!どんな本がタイプなんだ?本好きなのか?」
最近、隣のクラスの山本が、よく私に話しかけてくる。
山本も同じ図書委員だ。
「別に好きじゃない。強いて言うなら、ファンタジー小説かな。」
私はそっけなく返して、本の整理をする。
「俺さ、彼女いないんだよな〜。同じ委員会になった誰かを付き合いたいんだけど、立川と桜堂は両想いだろ?年下と恋愛はちょっとアレだし、そしたら神宮寺だろ?神宮寺とカップルになれば、俺も『彼氏』になれる!そしたら俺、かっこよくね?っつーことで、考えといて!」
そんな理由で私にちょっかいをかけないでほしい。
それに、山本は恋をしていない。
本当に私のことを想う人としか、私は一緒になれない。
私のことを想う人なんて、いないけど。
ため息を吐いて、私は本を棚に押し込む。
その日の夜。
私とアクアは、二人で一緒にカードゲームをして遊んでいた。
「はーい、私の勝ち〜!」
「あ〜もう一回!」
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