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学校では大人しくて毒舌な私も、家なら……アクアと一緒なら素直で優しくなれる。
「あ、もう九時半だし、今日はおしまい。」
「何それ、勝ち逃げ!?」
「続きは明日やろ〜!」
「え〜……わかった、明日ね。」
私は立ち上がり、カードゲームをしまう。
「二人とも、終わった?話したいことがあるの。」
机でお茶を飲んでいたお母さんが、私たちの方へ来た。
「お母さんね。……実は、お腹に赤ちゃんがいるの。」
「ええっ!!」
「そうなの!?」
赤ちゃん。
私たちの妹か弟!
「あ、だから最近太ってきているの?」
アクアが、ちょっと失礼なことを言う。
「うん。お腹の中にもう一人いるんだもの。お腹以外も太っているのは、食べづわりだから。」
「食べづわりって?」
「食べていないと気持ち悪いらしいよ。」
私はアクアに教えた。
「出産までは、あとどのくらいなの?」
「出産予定日は、来月の下旬ぐらい。だから、この子は七月生まれになるのよ。」
今は、六月一日。
あと約一ヶ月半か……。
「あ。あと、この子たちは双子よ。」
「「え、そうなの!?」」
双子だなんて、すごい!
「だから、ね。一人は大愛が、もう一人は水愛が名前をつけて欲しいの。あなたたちは、誕生石のダイヤモンドとアクアマリンにちなんで名前をつけた。これに匹敵する、最高の名前をつけてね!」
プレッシャーかけないで〜。
私が、名付け親……。
考えただけで、なんだか温かい気持ちになった。
「任せて、お母さん!」
私は笑顔で言った。
「はああ〜。」
放課後、私は図書室で本を読んでいた。
アクアと今朝話して、
・誕生石にちなんだ名前
・共通の文字を入れる
と言うことは決めたんだけど……。
七月の誕生石は、ルビーとスフェーン。
和名は紅玉と楔石。
なんか、名前にしにくいなあ……。
名前を付けるのって、こんなに難しいんだ。
あ、アクアの名前『水愛』みたいに、当て字を使う?
でも、当て字ってやりすぎてもあんまりだし……。
「ダイア!」
なんだろう。
「良いけど……これ、何?」
私は手紙を見つめる。
「読めば、わかるよ。」
桜堂くんはそのまま階段を上がり、消えていく。
いったい、何な訳?
心臓が、うるさく鳴っている。
家に帰り、宿題をして、ご飯を食べて。
私は自分の部屋に入ると、手紙を開けた。
『僕は、神宮寺さんのことが好きです。
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